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2023.01.04 老人ホーム

老人ホームは何歳になったら考えるべき?

自宅での生活が難しくなったら老人ホームを考えている、という方も多いかと思います。でも、老人ホームが何歳から入所できるのか、自宅での生活が難しくなるタイミングが具体的にいつのことなのか、知っていますか?

今回はそんな疑問を解消できるよう、老人ホームの入所を検討するタイミングについてお伝えしたいと思います。

 

 

老人ホームは何歳から入れるの?

老人ホームの種類によって異なりますが、一般的に入所可能とされているのは、65歳以上の方と、特定疾病により要介護認定を受けた40歳から64歳の方になります。また、年齢の他にも要介護認定の介護度も条件に加わる老人ホームもあります。自分が入りたいと考えている老人ホームの種類も、詳しく調べてみると良いでしょう。

 

施設名 自立 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
特別養護老人ホーム × × × × ×
介護老人保健施設 × × ×
介護医療院 × × ×
軽費老人ホーム(A・B型) × × × × ×
ケアハウス
介護付き有料老人ホーム

(混合型)

× ×   × ×
介護付き有料老人ホーム

(介護専用型)

× × ×
住宅型有料老人ホーム
認知症高齢者グループホーム × ×
サービス付き高齢者向け住宅
シニア向け分譲マンション

※介護医療院、軽費老人ホーム(A・B型)、ケアハウス、認知症高齢者グループホーム、サービス付き高齢者向け住宅は要介護度の他に入居に関する条件があります。入居条件に関しては各施設へ問い合わせることをおすすめします。

高齢者施設の種類と特徴について詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

⇒どんなところがあるの?高齢者向け施設の種類とその特徴について

 

 

 

要介護認定とは

老人ホームの入所条件にもなる要介護認定とは、被保険者に対して「介護保険のサービスがどのくらい必要なのか」を知るために行う認定のことです。介護保険制度の要介護度は、病気の重篤によって左右されるものではありません。その人に対して、どの程度介護の時間がかかるのかを基準に判定されます。例えば、認知症の高齢者で徘徊等の症状がある場合は、見守りの時間が相当必要だと判断され、『要介護』判定が出ます。逆に、終末期のがん患者でも投薬以外は特に介護を必要としていない場合は、『要支援』が出る場合もあるのです。

 

①認定の流れと介護度について

まず、要介護認定を申請するためには『介護保険要介護(要支援)認定申請書』を用意する必要があります。この申請書は自治体の窓口や、Webサイトで手に入れることができます。ダウンロードをして記載した上で窓口に持参して手続きしても良いですし、心配な方は窓口にて、職員の方と一緒に記載するのもおすすめです。要介護認定には主治医の意見書も必要になるため、『介護保険要介護(要支援)認定申請書』にかかりつけ医を記載する箇所もあります。そのため、病院名や主治医の名前、病院の所在地や電話番号などを事前に調べておくと良いでしょう。また、訪問にて認定調査を行うため、自身のスケジュール確認も行っておくと、よりスムーズに申請をすることができます。

高齢のため申請が難しい、窓口まで行くのが大変という方は、居住地ごとに担当地区が決められている地域包括支援センターへ相談することをおすすめします。自宅へ訪問し、申請代行を行ってくれますし、認定が出た後も介護サービスについての専門的な情報提供や、各機関への連絡調整も行っているため、要介護認定を検討している場合は一度連絡をしてみると良いでしょう。担当の地域包括支援センターが分からない場合は、自治体の介護保険担当の課に問い合わせることによって紹介をしてくれます。

 

申請を行うと、申請者に対して認定調査員による聞き取り調査を行います。実施する場所は基本的に自宅ですが、申請者が入院中の場合は病院にて行うこともあります。この認定調査と主治医の意見書をもとに、コンピュータによって要介護認定の区分判定行います。これを一次判定といいます。

一次判定の結果と主治医の意見書を参考に、介護・福祉・医療の専門家・学識経験者によって構成される介護認定審査会によって審議を行い、最終的な介護度の決定を行います。これを二次判定といいます。

申請から30日以内に結果が郵送にて通知され、要介護認定は終了となります。

 

要介護認定には『要支援1~2』と『要介護1~5』、『自立(非該当)』の8段階があります。介護保険のサービスを利用することができるのは、『要支援1~2』と『要介護1~5』の認定を受けた方のみになるため、『自立(非該当)』と認定された場合は利用することができません。また、介護度が上がるにつれて使えるサービス・時間が増えていき、それに伴い自己負担額も増えていきます。

 

②特定疾病の種類

40歳から64歳までの方でも、特定疾病と認定されることによって要介護認定を受けることができ、介護保険サービスを利用することができるようになります。

 

【特定疾病一覧】

①がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る。)※

②関節リウマチ※

③筋萎縮性側索硬化症

④後縦靱帯骨化症

⑤骨折を伴う骨粗鬆症

⑥初老期における認知症

⑦進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病

⑧脊髄小脳変性症

⑨脊柱管狭窄症

⑩早老症

⑪多系統萎縮症

⑫糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症

⑬脳血管疾患

⑭閉塞性動脈硬化症

⑮慢性閉塞性肺疾患

⑯両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

 

 

 

 

老人ホームを考えるタイミングと

①元気なうちに早めに探す

一般的には、老人ホームの見学から入所までには一か月半から二か月ほど時間がかかると言われています。そのため、早めに行動することが基本になります。

見学だけでも90分以上かかる場合もありますし、契約に際して重要事項説明書の内容をきちんと理解し、費用面についても工面しなくてはいけません。もし自身で老人ホームを探す場合は、気力・体力・判断力のある、元気なうちに行動することをおすすめします。

また、施設によっては待機者が出るなど、入所までにかなりの時間がかかる場合もあります。自宅での生活が難しくなり今すぐ入所が必要となってからでは、希望する理想の老人ホームに入所することが難しくなることも考えられます。『もしもの時のため』に、早いうちから検討・行動をし、必要となった場合にスムーズに手続きができるよう整えておくことも大切です。

 

 

②人生設計を立てたとき

自分が老後をどこでどのように過ごすのか、そのように人生設計を考えたタイミングで老人ホームを検討することもよいでしょう。その際、どの老人ホームが自分に合っているのかを調べることの他に、予算計画も立てることをおすすめします。定年後の収入はいくらなのか、年金はいつから、いくら入るのか、退職金はどのくらいなのかは把握していますか?老人ホームに入所すると、施設によっては月にかなりの費用がかかることになります。何歳に入所して、何年そこで暮らすことになるのかを考え、無理のない予算計画を立てるようにしましょう。自由度の高い老人ホーム等はその分費用が高くなる傾向にあります。「自分らしい生活を送るためにはいくら必要か」ということも、早いうちから考えていくことをおすすめします。

 

③自宅での生活が難しくなったとき

骨折や病気、老化によって介護が必要になった場合や、配偶者が亡くなって一人暮らしになってしまった場合も、老人ホームを検討することになるかと思います。子どもがいる場合は、子どもから打診をされることもあるでしょう。

介護保険サービスを利用すれば、介護度にもよりますが日中の支援を受けることはできます。しかし、どうしても夜間は自力で過ごさなくてはいけません。トイレや食事の介助、もしもの時の対応など、不安に感じることがある場合は、24時間体制で見守りをしてくれる老人ホームのほうが安心です。生活に変化が生じてしまった場合は、自身だけでなく、家族を交えて今後どのように生活していくのか、話し合うことをおすすめします。

 

 

おわりに

厚生労働省の調査によると、男性の平均寿命は81.47年、女性の平均寿命は87.57年と、定年後の人生がとても長いことが分かります。

長い老後を自分らしくどのように生きていくのか。早めに考え、計画しておくことは必要になるかと思います。早めに行動することによって、『もしもの時』にも素早く対応することができます。老人ホームも老後の一つの選択肢として、ぜひ一度考えてみてください。